(社説)イッテQ疑惑 放送への信頼傷つけた:朝日新聞デジタル
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人気のバラエティー番組にいったい何があったのか。すみやかに真相を明らかにして、社会に報告する責任がある。
日本テレビ制作の「世界の果てまでイッテQ!」に疑念が持たれていることに対し、大久保好男社長が謝罪した。
きっかけは週刊文春の記事だ。芸人が世界の祭りを訪ねる番組中の企画について、5月に放映されたラオスの祭りは存在せず、
日テレ側の自作自演によるイベントだと報じた。
当初日テレは「番組サイドで企画した事実はない」と反論していたが、タイの祭りでも同様の疑いがあると指摘されると、一転して非を認めた。
企画は当面休止し、放送済みの111本の内容を可能な限り検証するという。当然の対応だ。
高視聴率が生んだおごりか、あるいは数字を維持するために逸脱行為に及んだのか。
娯楽の要素が強いバラエティー番組は報道と違う、多少の演出は必要だ、という声もある。だが、
「ない」ものを作り出して「ある」とする行為は、公共をになう放送番組として許されない。
まして「イッテQ!」は「“真実”との出会い」をうたい、ロケの失敗も隠さずにリアルさをアピールしてきた。
日テレ自身のコメントにあるように「猛省」が必要だ。
日テレは09年、「真相報道バンキシャ!」で虚偽証言をもとに間違った報道をし、社長が辞任したことがある。
以来、危機管理やコンプライアンスの確立に取り組んできたはずだ。ところが今回、企画づくりに当たったコーディネーター会社に責任を押しつけるような態度をとった。
その後、「放送責任はすべて日テレが負う」と軌道修正したが、批判の火に油を注ぐ形になったのは残念だった。
中略
また、別の放送局のバラエティーが問題になったときの意見書(14年)にはこうある。
「バラエティーを成り立たせる『約束ごと』は、実にもろく、ちょっとしたことでひびが入る。
それが続けば、テレビそのものへの信頼が崩れかねない」
フェイクニュースが横行する時代。何より大切にすべきは、この「信頼」ではないか。
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